ドローン検定2級を取得しました。この勢いでドローン検定1級目指します。
とは言っても、2021年5月現在この【ドローン検定1級】を取得するメリットはありません。
強いて言うのであれば、「ドローン検定公式サイトへの記載」と「自己満足」ぐらいでしょう。
それなのにどうして「ドローン検定1級」を取得しようとしているのかというと、80%は「自己満足」です。20%は来年から始まる「無人航空機の操縦ライセンス制度」に伴い、私が目指しているインストラクターに必要な知識を学ぶためです。必要となることを信じ学習していきます。
ここでは、ドローン検定1級の【民法と法律の考え方】をなるべく丁寧に記載させていただきます。少しでも参考になればうれしいです。
ドローン検定1級【民法と法律の考え方】についてのTRYはこちら
目次
民法とは
【民法】は大きく分けて【財産法】と【家族法】に分けられます。違いについて簡単に説明します。
財産法
【財産法】は主に売買取引、土地家屋の権利、金銭の貸借、他人に損害を加えた場合の賠償義務など財産についての規定です。
家族法(身分法)
【家族法】は主に婚姻、離婚、相続などの人間関係についての規定になります。
ドローン検定では、飛行させる場所の権利や生じ得る賠償義務などを理解するために【財産法】の一部を学習していきます。
特別法の存在
民法の中に補う形で【特別法】が定められています。
テキストに例としてあげているのが【商法】です。商法は財産関係のうち会社同士での売買取引についての規定です。
ここで覚えるのは、【民法】を【一般法】としたとき、その中にある【商法】は【特別法】となります。
そして【特別法は一般法に優先する】ことです。
つまり、「商法に定められていることは民法の規定より商法の規定が適用される」ということです。
なお商法に規定がない場合は、民法の規定を適用していきます。
民法上の権利と権利能力
権利・権利者
民法では【権利】という言葉が多く出てきます。そして【権利】持つ者のことを【権利者】と言います。
【権利者】は、その権利を施行によって生じる利益を受け取ることができます。
【権利者】は、その権利の実現を妨げるものを排斥することができます。
ここで、テキストにある例を取り上げましょう。
権利者Aさんが土地を所有しています。
その土地を使用して生活する=権利を施行して利益を受け取っていることになります。
侵入者を追い出す=権利の実現を妨げるものを排斥する。
侵入者により生活がままならなくなった場合、侵入者に対し賠償を求めることができます。
権利能力
ここで言う【権利能力】というのは、【権利者】になることができるという意味です。
【自然人】…出生して生きている人
【法人】…法律で定めのある法人格を有する団体
権利能力が認められているのは、【自然人】【法人】です。
1つの財産に対してどちらか一つに限らず両方の可能性もあります。
また、犬猫などの動物 町内会などの法律の定めのない団体には権利能力は認められていません。
民法の基本原則
第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない
第2条 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない
第3条 権利の乱用は、これを許さない
私権と公権
【私権】とは、権利能力を持つ者が得た権利
【公権】とは、主に国などの行政の持つ権利
上記の民法の第1~3条で言いたいことは、「権利を持つ者でも公共の利益や他人の権利を害するような場合は権利行使を認めない」ということです。
基本原則
民法の基本原則には次のような考え方があります。
権利平等の原則 | 身分や性別に関わらず、全ての人が平等に権利義務の主体となれることが認められる原則 |
所有者絶対の原則 | 人が物に対して所有権を有することを認め、その物を全面的に支配する絶対的な権利があるという原則 |
私的自治の原則 | 個人の自由な意思に基づいて私法上の法律関係を形成することができるという原則 誰とどのような契約を締結させるかは個人の自由という意味の「契約自由の原則」 |
過失責任の原則 | (大雑把に言えば)故意または過失がなければ責任を問われない。 |
「故意、過失」とは「禁止されていることを知っていて~」を意味し【悪意】と言うこともできます。
逆の意味の【善意】は「知らずに~」ということとなります。
民法における「物」の定義
ここでは民法で取り扱う権利の【権利者】に対して【物】についてです。
この法律において「物」とは、有体物をいう。
土地や車、家など物体が存在するもの、つまり「気体・液体・固体」を指します。
ここで言う「物」でないものとして「空間、エネルギー、光、電気」などがあります。

日光を妨げる【日照権】を耳にしたことがありますか?
明確な法律はないようです。多くの裁判例の積み重ね
により権利として扱われているようです。
刑事責任と民事責任
【刑事責任】…違法行為(法律に違反する行為)をしたものに対し、国により懲罰などの罰が与えられる責任です。
【民事責任】…不法行為により物の所有者が受けた損害の賠償責任を負うことです。
多くの場合、両方の責任を負わされます。
ただし、刑事責任のみ、民事責任のみが問われる場合もあります。
刑事責任のみ…スピード違反などの罰金がこれに該当します。
民事責任のみ…不倫による慰謝料請求や家族間でのトラブルなどが該当します。
ここで試験対策として大切なことは「民事責任は被害者が損害賠償を求めた場合に責任を問われる」ということです。
極論を言うと、不法行為を行っても被害者が損害賠償を求めなければ責任はないということとなります。

俗にいう「泣き寝入り」です。
不法行為とは
故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
賠償責任について上記のように定められており、この条文抵触する行為を【不法行為】と呼びます。
第三者が所有する土地の上空
ドローン検定の4級から2級までに学習してきたドローンを飛行させる場所に関わる法律として「航空法」「小型無人機飛行禁止法」がありますが、それに当てはまらない第三者が所有する土地の上空について刑事責任と民事責任の両面で考えていきます。
土地の所有権|民事責任
まず民事責任について考えます。土地の所有権について民法に次のような定めがあります。
土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。
簡単に言うと「土地の権利は、上空(空間)も地下も含まれますよ」ということです。
余談ですが、私はここで違和感がありました。
「物」の定義の部分で【空間は「物」ではない】という部分です。
ドローン検定の方に問い合わせたところ、
「この場合は、土地の所有者の権利ですので、土地と上空(空間)はセットと考えてください。空間単体では「物」ではない」とのことでした。
さらに「法令の制限内おいて」の部分です。
★例えばガスや上下水道など公共の利益のための利用や適切な認可を得た地下の商業的利用の場合のときは土地の所有者が権利は制限されます。
★他にも航空法にはこのように定められています。
航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、地上または水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。

ここの話は、航空機つまり飛行機やヘリコプターの話だからね。
ドローンのことだと思うと、「???」となってしまいます。
(イ) 人又は家屋の密集している地域の上空にあっては、当該航空機を中心として水平距離600メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から300メートルの高度
(ロ) 人又は家屋の密集していない地域及び広い水面の上空にあっては、地上または水上の人又は物件から150メートル以上の距離を保って飛行することのできる高度
(ハ) イ及びロに規定する地域以外の地域の上空にあっては、地上面又は水面から150メートル以上の高度と定められています。
要約すると、
(イ) 住宅密集地では、一番高い建造物より300メートル高く飛ばす。
(ロ) 住宅密集地ではない場合は、地上または水上から150メートル高く飛ばす。
(ハ) イでもロでもない場所も150メートル高く飛ばす。
★そもそも民法第207条は、継続して占拠されること防ぐ目的で定められているので、【上空の通過】の行為についてを制限することを考慮されていません。
しかし、無人航空機が通過したことによって土地の所有者に精神的ストレスなどを与えてしまった場合は、治療費や慰謝料などを賠償する義務があります。
住居侵入罪|刑事責任
無許可で第三者が所有する土地の上空を飛行させた場合、刑事責任として考えられるのが、【住居侵入罪】です。刑法では次のようになってます。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する
ここで見るべきところは、対象が「人」であることです。「物」であるドローンが侵入しても刑事責任を問われることはありません。
のぞき|軽犯罪法
責任という部分でこの例が出てきます。この場合は飛行というより、空撮の部分ですね。
正当な理由なくて人の住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣類をつないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
最近のドローンは、4Kや6Kを撮影可能なカメラ、10bitという鮮明な画質のものが簡単に入手可能です。住居などに近い場所の飛行の場合に映り込む可能性も考えて、十分に回避させておく必要があるでしょう。
ホテル、旅館などでは、景観の良い方向に露天風呂を設置している場合が多く見られますので、覚えておきましょう。
疑われる可能性はゼロにしなくては、せっかくの楽しいフライトもつまらないものなってしまいます。
結論|第三者が所有する土地の上空
1級テキストP23~25の文章でなにが言いたいかというと。
住居侵入罪には該当しない。
土地の所有権は、上空で航空機が通過しても法令の制限内であるが、権利は所有者にある。
航空機が上空を通過することで実害が生じることは考えにくいのではないか。(騒音問題は別)
第三者が所有する土地の上空を無断で無人航空機が通過させることについての定めがない。
土地の所有者に精神的ストレスなどを与えてしまった場合は、治療費や慰謝料などを賠償する義務がある。
のぞきは、ダメ絶対!疑われることも回避して!
「第三者が所有する土地の上空での無断飛行は不法行為」ということです。

今後のドローン業界のためにも、
許可を得た土地で安全に飛行させましょう。
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